029 息子を追い詰めた教師の姿を画面越しで見て硬直する息子

 

兄のことが好きだから

太郎の2つ上の兄は4月から義母の家に居候して会社へ通うことになっていて、二人でベッタリいられるのも残り少なくなってきた春休み。

通勤で使用する車は義母の家に置いているので、運転の練習と称しては2~3日おきに義母の家に行って、2つ上の兄の勤務先までのドライブに同乗。

家にいる日だって2人並んでゲームをしたり、とにかく兄とベッタリな時間を久々に満喫して太郎の心もかなり落ち着いてきたように見えました。

 

「明日お兄ちゃんはおばあちゃんちへ行くよ」

私が太郎に明日3月30日に二つ上の兄は義母の実家へ行くことを告げると

「え?もう行くの?」

その言葉の後はかなり寂しそうなというか不安げな顔に変わりました。

 

そこまで心の支えになっていた兄なのに、どうして同級生だったAや水泳部顧問からのいじめ・圧力で苦しんでいた時に一言でも相談できなかったのか、という思いがどうしても込み上げてきます。

大事な兄だから心配はかけられないし迷惑もかけられないからと、太郎は以前言っていました。

でも本当は、いじめられていることを告白するのが恥ずかしく格好の悪いことだと感じていたのでしょう。

いじめを受けても誰にも相談できない子は本当に多い。

相談できる相手が本当はいたとしても、いじめに関しては恥ずかしさや言うべきではないとの思いが勝ってしまい、みんな心の奥底に溜めるだけ溜めてしまうものなのだろうと、わが子の様子を見てそう思いました。

溜められる間は良いけど、溜められなくなってあふれ出るようになった時、いったいどんな行動に出てしまうのか。

私の息子のように、自らの命を絶つことしか選択できなくなるまで溜め続けて、あふれ出すのをただ待つだけしか何も手立てはないのだろうか。

 

4月になり春休みが終わりに近づくということは、新学年の開始を告げる始業式も近づいてくるわけです。

心の支えだった兄がそばにいなくなり、そしてまた登校しなきゃいけないという不安感から様子がおかしくなる太郎。

春休み中は部活動などを含めて登校禁止となっていたのですが、県立高校が4月8日から再開するという方針を打ち出したのに合わせ、太郎が通う高校も再開の方針が伝えられました。

ただし始業式から1週間はオンライン配信、4月13日からは登校することになったので、もうしばらくの間は家にいられることに。

 

その後緊急事態宣言の発出により休校措置が取られ、GWまで登校はせずにオンラインによる授業が行われることになりました。

オンライン授業ならば見たくもない教師の顔を見ずに済むので良いと思う反面、2年生からは推薦入学の枠から外れて一般の生徒のクラスへ入るのですが、クラスメイトを誰一人知らないままオンラインとはいえ授業が進められる不安感もあるでしょう。

私や妻もいろいろ考えてしまって不安を感じるのですが、太郎はその何倍もの不安を感じているのではないだろうか。

 

 

クラスのほぼ全員を知らないし授業では習っていないことばかり

太郎が通う高校では1年生の時にノートパソコンが全員に配布されています。

元々は学校の授業で使うための配布でしたが、コロナ禍においては生徒全員に配布していたことによって早期のオンライン授業が可能とになるという、思わぬ副産物を得たという感じでしょうか。

ただ学校側もオンライン授業の経験はまったくありませんから、準備には時間がかかり苦労も相当あったようです。

各教科担任やクラス担任はカメラの設定に始まって、全生徒へのZOOMの設定指示、配布されたノートパソコン(Surface Go)は画面が10インチと小さくオンライン授業では見にくいとの指摘から、テレビ画面に映し出すためのUSB-HDMIのコードの手配など相当大変だったようです。

 

太郎にとっても初めてのオンライン授業は目が疲れるのか、休み時間には寝転がって目をつぶっているシーンをよく目撃しました。

また何かしらの不安を感じていることもあるようで、授業をサボってスマホで現実逃避を図っていることもありました。

1年生の夏休みや冬休みが終わる直前にも見られた行動で、この時は退学になったAや水泳部顧問からのいじめや圧力が耐え難いほどの苦痛だったから、スマホで現実逃避を計っていたのだと認識しています。

オンライン授業とはいえ顔を合わせたことがない担任や副担任、知っているクラスメイトは1人か2人という状況でのZOOMミーティングでの授業。

表示される名前を見たところで太郎は知らない人ばかりだったから、不安を感じてスマホへ現実逃避していたのかなと思います。

 

また1年生の時は推薦入学のクラスにいたため、授業の進行状況が一般クラスとは全く違います。

推薦クラスは最低限のことしか習わないのに対して、一般クラスは大学の入試対策を考慮し、3年生の1学期中にはすべての教科を習い終わるようにカリキュラムが組まれています。

さらに太郎は3学期はほぼ授業を受けておらず、一般クラスの生徒と太郎とでは相当な差が開いています。

本来はその穴埋めのために春休み中に補講を受けることになっていたのですが、1年生のクラス担任は補講の日程について連絡しますと言ったきり何の連絡も無かった。

かろうじて学年副部長(副主任)は理科の授業の補講を春休み中に開いてくれたのですが、他の教科は結局なし。

そりゃ習っていない上に新たなことを覚えるとなると、さすがにきつすぎます。

スマホに逃げたいという気持ちも、私には理解できるのですが。

それよりも、やっぱり体育科の教師ってこの程度なんだなとのに認識をさらに強くしたのです。

 

もしも4月の最初からふつうに学校へ行き、知っている同級生は皆無という状態で教室へ入って習ってもいない授業を受けることを思うと、まだオンライン授業のほうがマシだったのかなと思ってみたりもしました。

1年生の時のようなひどいめまいや体の硬直化によって倒れそうになることはあまり起きないとは思っていたのですが、オンライン授業でもさまざまな不安が襲い掛かって逃避したい気持ちに陥っているとすれば、まだ登校は難しいのかもしれない。

オンライン授業ではホームルームも設定されており、ZOOM越しで担任などと話をする機会もあるから、緊急事態宣言が解除される頃には少しでも不安感を拭い去ることができればと思いながら様子を見ていました。

 

 

オンライン授業でも体育が設定されていて・・・

オンライン授業なのですが、体育の時間もわずかですが設定されていました。

当初は制服のままでもできる簡単なストレッチ程度だったのですが、いつしか体操服に着替えて体育の授業を受けなければならなくなっていました。

体育の授業とはいえ、自宅の一室で行うことからそれほどハードなことはできません。

一戸建てにお住まいの方は問題ないでしょうが、我が家のような集合住宅でドンドンと響くようなことをするとかなり迷惑をかけてしまうことになりますしね。

でも腹筋や腕立て伏せなどはしていたように思います。

 

私が体育のオンライン授業の様子を見たときは、画面には1年生の時のクラス担任やほかの体育の教師が担当していたのですが、妻がちらっと見たときには水泳部顧問が映っていたというのです。

のちに太郎に聞いたところでは、体育の時間以外でも水泳部顧問が現れたことは何度もあったと言っていました。

 

「太郎を精神的にズタボロにして登校もままならない状態にまで貶めた水泳部顧問が、画面越しとはいえなぜ担当しているのだ?」

私も妻も素直にそう思いました。

 

学校に残って教師として活動するのは勝手かもしれないけど、せめて太郎が在籍する学年での活動は控えるのが当然ではないのだろうか。

水泳部顧問自身は2020年3月4日の意味なき言い訳だけの謝罪面談で、すべては解決済みだという認識なのだろうか。

またこのような教師を太郎が在籍する学年の体育教師と活動させることを、学校としてはいったいどう考えているのか。

学年部長(学年主任)をはじめ校長や理事長たちも、すでに終わったことだと認識して太郎が見るこの画面上に水泳部顧問を出してきたのだろうか。

 

太郎は水泳部顧問を画面上で見た日は顔面が蒼白で無表情になっていた。

まるで能面をかぶったみたいに。

ちょっとした会話をしようと思っても、太郎は返事さえままならない状態になっていた。

 

ひょっとしたらスマホへ現実逃避するのも、水泳部顧問が画面に現れたのと関係しているのかもしれない。

実際のところ1年生の夏休みや冬休み終了間際にスマホへ現実逃避していたのは、退学になったAに会いたくないという気持ちに加え、水泳部顧問の圧力や無視が大きな要因となっていたのですから。

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