定期考査の方が心がやすらぐようだ
2020年2月14日(金)の夕方に我が家へやってきた教師たちから受け取った、定期考査の範囲と提出するワークについて書かれた書類のほか、授業で使用し今回のテストにも出題される資料や問題など。
太郎は翌日の15日から早速取り掛かっていました。
3学期はほとんど登校していないために習っていない部分がかなりあったようですが、それでも教科書や参考書を広げながら解いていきます。
リビングのテーブルを占拠されるのでこちらは全くくつろげないのですが、勉強をしている太郎の様子を見ていると、いじめに遭って死を選び、その後は教師の圧力・恫喝・暴言のために学校へ行けなくなった太郎とは同一人物にはとても見えないほどに一生懸命に勉強に取り組んでいます。
そして17日(月)から一週間の定期考査の期間中は、家を出たところで多少ふらつく場面もあったのですが、それでも学校へ行き定期考査をすべて受けることができました。
家で勉強しているときはいじめ加害者の事や水泳部顧問の事を考えることなく、提出しなきゃいけない課題や試験に出される範囲の勉強に集中できたのが良かったのでしょう。
そしていつもならば玄関を出てすぐや、エレベーターで1階に降りてすぐに強烈なめまいに襲われて体が固まり、一歩も足が前に出ない状態で倒れそうになるのですが、試験期間中はそこまでひどくはならずに登校出来て定期考査を受けることができたのも、試験というものに集中できたためとしか考えられません。
普段の授業だとやはり周囲の目(クラス担任やクラスメイトなど)が気になるし、水泳部顧問の圧力などの残像が頭に残っていて動けなくなるのでしょう。
しかし定期考査となればそんな周囲の目や水泳部顧問の圧力は関係なく、自分の世界に入り込むことができるから太郎にしてみればすごく楽に感じたのだと思います。
それに試験で上位の成績をとってもテストの点数より水泳でのタイムが大事だと、完全に太郎を全否定してきたいじめ加害者のAも退学となってすでにいません。
テストに集中できる環境が整ったのかなと思います。
ところが定期考査の翌週2月25日(火)は家から自宅最寄り駅まで歩いて行ったものの、駅のトイレに入って嘔吐。
妻に付き添われながらなんとか学校へ行ったものの、お昼休みに弁当を食べている最中にめまいがひどくなって保健室へ行き、結局は学校まで迎えに行って早退。
翌26日はマンションの1階まで降りたところで倒れそうになり、また学校へ行けなくなってしまいました。
精神科へ行くことを勧められたけど
幼稚園に通っていたころ太郎と同じクラスだったT君のお母さんは、本当にいろいろと気遣って下さって妻によくメッセージを送ってくれていました。
太郎が学校へ行けなかった日には太郎はT君へ
「今日も無理やった、ごめん」
というメッセージを毎回送っているのですが、この度重なる症状から精神的に病んでいると判断されたのでしょう
「精神科や心療内科を受診してみるほうが良いと思います」
というメッセージを妻は何度か受け取っていたようです。
私や妻にしたって、このままでは太郎は学校へ行けなくなり、そして水泳への復帰も無理だろう。
そうなると通信制高校へ入りなおすしか手はない。
下手すれば通信制高校どころか、何もできない状態でずっと部屋の中で過ごす人生を歩みかねない。
また環境を変えるためにも現在住んでいる街ではなく、もう少し田舎でのんびりしたところへ転居する方が良いかもしれないとも実際に考えました。
現在住んでいる場所は電車での所要時間をもとに考えると、学校とスイミングスクールのちょうど中間地点になります。
学校を辞めるとかスイミングスクールに通うことはなくなるとすれば、転居したところで何の支障もありません。
妻はスイミングスクールへの復帰はないと信じていたため、転居に積極的でした。
ただその前に精神科などを受診させるべきか否か。
太郎の性格を考えると、見ず知らずのカウンセリングの医師に話ができるのだろうかという疑問が湧いてきます。
医師を信頼することができて、心の中の気持ちをすべて吐き出すことができればよいのだが、太郎の場合は難しいのではないか。
何かを尋ねられてそれに対して答えることはできるけど、自分から話すことは元々大の苦手。
それ以上に、いじめに至った経緯や自殺を図る契機となったことなど、すべてを最初から話すことは太郎にとって相当な負担になる可能性が高いと思ったのです。
それにお薬も怖い。
精神を安定させるお薬って、きついものになれば体の行動自体を制限してしまうものもあるほどです。
そこまできついお薬ではないにしても、今服用しだしたらお薬から脱却できなくなるのではないか。
そんな危惧もありました。
ただしこの先学校ともめた場合、精神科の医師による正式な診断が無ければ学校を相手に戦うことは難しいでしょう。
そう思うと一度だけ病院へ連れて行き、とりあえず診断書を書いてもらっておくのも懸命な考え方かなとも考えました。
いろいろと精神科や心療内科などを検索しては口コミなども細かくチェックしていきましたが、やはり人の性格によって医師と合う合わないが他の診療科以上に色濃く出ているように感じました。
子供に常に寄り添うことを選択
内科や外科とは違い精神科や心療内科って、見えない心の傷をいかに修復してもらえるのか。
いかに患者に寄り添うことができるのかが大きな目的だろうと思っています。
そのためにはいかに親身になって話を聞いてもらえて、いかに理解してもらえるのか。
そして場合によってはお薬を使用して精神を落ち着かせるというのも治療のひとつになっていきます。
ただ同級生によるいじめ以上に、水泳部顧問による高圧的な態度や恫喝に暴言などによって大きく傷ついた太郎にとって、いくら医師とは言え見ず知らずで話したことがない大人に対して、心の中が空っぽになるほどすべてを話すことなんて無理なのではないか。
また太郎の性格からして、精神科の門をくぐる自分の姿を見られることにかなり大きな抵抗が生じるのではないだろうか。
そういった懸念材料もありました。
妻は精神科へ行って医師に診てもらって診断書をもらい、カウンセリングを受けるるほうが結果的には太郎にとって良い選択ではないかと考えています。
そうしないと学校も辞め水泳も辞め、人前に出なくなって廃人同然になってしまう・・・
そんな危惧を持っていました。
私も悩みましたし、選択が間違っているとそれこそ太郎を廃人に近づけてしまうことになります。
悩んだ末に私が選んだのは
です。
いじめに遭った子供に寄り添うのは、どこのご家庭でも当然のようにされていることでしょう。
ですので特に変わったことではありません。
でもいかに精神的な面で寄り添ってあげられるかが本当に大切なのだと思います。
甘やかすのではなく、時には叱ることもあります。
でも倒れそうになったらすかさずに杖になってあげよう。
しかしただ寄り添うだけでは限界を超えてしまうこともあるでしょう。
杖になれたとしても、負荷が想像以上に大きかったら今度は太郎と一緒に私までも倒れてしまうことに。
そこで少しだけお薬に頼ってみるとこにしました。
処方薬は成分の含有量が多いため効果という面では良いと思いますが、あまりにもお薬に頼りすぎになることを避けるために市販の漢方薬を服用してもらうことに。
薬に関してはそれこそ合う合わないがあるので、素人の私がだれにでも勧められるという物ではありません。
そのことを念頭に置いていただいて、私が選択したのは
苓桂朮甘湯
柴胡加竜骨牡蛎湯
です。
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
そうした症状のある人の、神経症、立ちくらみ、めまい、頭痛、息切れなどで用いられます。

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

私は薬剤師など医療関係者ではありません。
様々なサイトを調べに調べて、今の息子の様子からするとこれらの薬がベストだろうと至ったうえで使ってみただけです。
すべてのいじめに遭ったお子さんに合うとは思えないですし、下手すれば合わずにどこかに悪影響が出る可能性もあります。
もし試してみて具合が悪い場合には必ず医師の診断を受けてください。
漢方薬もお薬ですから、試す前には薬剤師さんにアドバイスを求めた方が良いと思います。
うちの太郎の場合ですが、これらの漢方薬が利いたのか、それとも太郎と四六時中ずっと過ごせたのが良かったのか、または太郎自身による回復のためだったのかはわかりませんが、表面上はかなり良くなっています。
薬を飲むという行動自体が安心感に繋がったような気もします。
でも良くなったのはあくまで表面上です。
そう簡単に元の太郎には戻ってくれません。
いじめによって大きな傷を負った心の後遺症は何年も、何十年も、それこそ一生引きずり続けるものですから。
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