県はいじめが自殺の要因と認めるも学校は認めず・青森高2自殺

 

<私立学校法が障壁になっているのではないか>

私立学校におけるいじめの問題は、公立学校に比べて極めて表面化しにくい。

私立学校法によって「自主性を重んじる」ことが明記されていることで、すべてを学校内(学校法人内)で処理してもよいという考えが蔓延っていることが原因ではないか、そんな気がします。

 

 

県はいじめを認定したが学校側は否定

青森県の学校法人光星学院・八戸学院野辺地西高校の当時2年生だった生徒が2019年1月16日未明に自殺した問題。

 

自殺した生徒は遺書なども残していなかったため、学校は同級生らを対象にアンケートのほか教員にも聞き取り調査を実施したが、いじめがあったことを確認できなかった。

しかし男子生徒の教科書から「死ね」と書かれたメモが見つかったこと、亡くなる前年の夏ごろワイシャツの背中に靴の跡をつけて帰ってきたことなどから「いじめがあったのではないか」と遺族側が主張し、学校側は弁護士など4人の有識者からなる第三者委員会を設置した。

 

ところが第三者委員会は「学校内でのいじめは確認できなかった」とする調査結果をまとめ、光星学院は2020年8月4日に私立学校を所管する青森県に報告書を提出した。

 

報告書には

死ねと書かれたメモについて、記述を文字通り捉えて深刻に受け止めたものとも、何らかの苦痛や嫌悪感を抱いたものとも認められない。

ワイシャツの足跡についても客観的証拠が存在しない。

 

そして自殺した生徒は複数の交際経験があったことを指摘したうえで

「度重なる失恋ということができるかもしれない」

「失恋を直接のきっかけとして自死するに至ったものと考えられる」

と、自殺の原因は交際関係の悩みによるものと結論付けられました。

 

当然ですがこの報告書に遺族が納得できるわけがなく、遺族側の訴えによって青森県のいじめ調査部会は2020年12月から再調査を行いました。

そして2021年3月30日に県知事に報告賞を提出。

12項目について調査したところ

  • 友人とやりとりしたノートに「死ね」と書かれていたこと
  • 友人とのLINEのやりとりで、失恋して悲観的な時に「勝手に死ね」などと言われたこと
  • 同級生から買い物に行かされる“パシリ行為”があったこと など

4つの項目でいじめがあったと認定しています。

ただしこれらのいじめのみが自殺の原因ではなく、友人や交際相手など友達関係のほか学校生活や家族などさまざまな人間関係が互いに影響を与えたものとされました。

 

これに対して学校法人光星学院・八戸学院野辺地西高校は同校のHPに橋場保人校長名で2021年4月1日

このたび、青森県青少年健全育成審議会いじめ調査部会の報告書を受領いたしましたが、本校が設置した第三者委員会による調査結果と、自殺の主要因は交際関係にあるという点で一致いたしました。なお、調査内容の一部に相違があることについては、第三者委員会の調査結果を尊重したいと考えております。
今後は、このたびの出来事を真摯に受け止め、教育の充実に一層努めてまいる所存であります。また、今回の調査にあたり、多くの関係者のご協力に感謝申し上げますとともに、改めて山田武さんのご冥福を心からお祈りいたします。

とのコメントを発表。

さらに同校が設置した第三者委員会の「いじめは確認できなかった」とする調査結果を尊重し、遺族側が求めていた謝罪にも応じないとマスコミを通じて発表しています。

 

 

私立学校法

私立学校法

 

(この法律の目的)

第一条 この法律は、私立学校の特性にかんがみ、その自主性を重んじ、公共性を高めることによつて、私立学校の健全な発達を図ることを目的とする。

 

例えばキリスト教系の学校であれば、公立学校では教わらないキリスト教に関することを学んだりします。

そこには都道府県や市区町村、もちろん国もですが、各学校の独自の教育を認め、さらに行政からの過度の介入を防ぐことで私立学校を守ろうとする意味合いが強いものだと思います。

現在の私立学校法が制定される昭和24年までは、明治32年公布の私立学校令によって統制されていました。

私立学校法とは違い国からの強い統制を受け、公立の学校と同様に教育勅語を中心とする天皇制教育を求められていたことから、私立学校とはいえ自主性は認められにくい状態でした。

戦後は国や自治体からの統制を極力排除する目的もあって私立学校法が制定され、現在のように特色のある私立学校がたくさん誕生したわけです。

 

たしかに国や自治体からの過度の統制はあってはいけないと思いますし、各私立学校の自主性を重きに置くことは大切だと思います。

だからといっていじめの問題であったり、わいせつ教員の問題を、すべて学校内での出来事なのですべて学校独自の対応によって対処するのは正解とは言えません。

 

最近わいせつ教員の問題がよく新聞などで報道されますが、その大半は公立学校での出来事です。

またいじめによる様々な問題も、報道されるその大半は公立学校での出来事です。

では私立学校ではわいせつ教員の問題も、いじめに関する問題も少ないのかと言うとそんなことはありません。

 

わいせつ教員の場合は逮捕までに私立学校を解雇されるか自主退職してしまい、マスコミで報道される時には学校名は出ず「元教員」の肩書しか出てきません。

そして自主退学した場合は教員免許は失効しないので、他の学校で引き続き教師を続けることが可能です。

公立学校の教師の場合は嫌疑が出た時点で懲戒処分の対象となり、退職願を出しても認められないために、マスコミの報道でも学校名が出るのです。

 

また私立学校法では設置主体を学校法人としており、運営などはすべて学校法人に委ねられています。

それに対して公立学校は市立ならば市ですし県立ならば県であり、それぞれの教育委員会が運営などを行います。

今回の八戸学院野辺地西高校での問題では、私立学校であるがゆえに青森県のいじめ調査部会の報告書よりも、学校法人で設置した第三者委員会の報告書を優先させました。

これも私立学校の「自主性」の結果かもしれません。

 

 

いじめに関しては公立私立の垣根を超えた機関の設置が必要

私立学校とはいえ、「いじめ防止対策推進法」の適用を受けます。

 

(私立の学校に係る対処)

三十一条 学校法人が設置する学校は、第二十八条第一項各号に掲げる場合には、重大事態が発生した旨を、当該学校を所轄する都道府県知事(以下この条において単に「都道府県知事」という。)に報告しなければならない。

2 前項の規定による報告を受けた都道府県知事は、当該報告に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるときは、附属機関を設けて調査を行う等の方法により、第二十八条第一項の規定による調査の結果について調査を行うことができる。

3 都道府県知事は、前項の規定による調査の結果を踏まえ、当該調査に係る学校法人又はその設置する学校が当該調査に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のために必要な措置を講ずることができるよう、私立学校法第六条に規定する権限の適切な行使その他の必要な措置を講ずるものとする。

ただし私立学校を運営する学校法人に対して、都道府県知事が設けた附属機関(第三者委員会)での結論を受け入れなければならないとはどこにも書かれていません。

八戸学院野辺地西高校の学校法人である光星学院は、自らが設置した第三者委員会の結論は受け入れたものの、青森県の報告書については都合の良い部分だけを受け入れていますよね。

そこには私立学校の「自主性を重んじる」ばかりに、正義の介入をも許さないということが当たり前のように定着しているからではないかと思うのです。

言い方は悪いですが、私立学校法を悪用しているとしか思えないのです。

これは八戸学院野辺地西高校だけではなく、学校法人海星学園・長崎海星高校でのいじめ自殺事件のようなケースもあり、私立学校全体の問題ではないかと思います。

 

公立学校は大丈夫かと言うと全くそうではなく、教師も教頭も校長も、そして設置主体である教育委員会までもがいじめを認めようとしない体質なのは、多くの方が実際に感じられるていることですし、市議会議員の中にも教師出身の場合は生徒・保護者ではなく学校側に有利となる言動しかしないといった声も上がっているほどです。

 

これほどいじめ問題やわいせつ事案が続発している状態なのですから、公立私立関係なく扱える機関の設置が必要ではないでしょうか。

教育委員会も学校法人も全くあてにならないと感じる方が多い現状ですから、その垣根を越えて強制力を持つ機関をぜひ設置してもらいたい。

特に私立学校の場合、現状では都道府県や市区町村に問題行為などを訴え出る機関がなく、学校(学校法人)任せとなるか弁護士等に相談するといった選択肢しかないのが現状です。

公立学校でも教育委員会は結局は教師・教頭・校長の上司という立場であり、言ってみればお仲間なわけです。

これでは懸命に声を上げたとしても、マスコミなどで報道されて表に出なければいじめ被害者や保護者を丸め込もうとする動きに懸命になるだけです。

 

学校でのいじめがなくならない根本的な原因

それは専門的に扱える人や機関が存在しないからだと個人的に思います。

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