大津市中2自殺 いじめとの因果関係を認めた点は良いのだが

いじめ

いじめ防止対策推進法制定の契機にはなったけど

2011年(平成23年)10月11日にいじめを苦にして、自宅マンションから飛び降り自殺した事件。

クラス担任や校長などの学校や教育委員会の余りにずさんな対応。

当初は刑事事件として被害届も受理しなかった警察。

やがて事件の内容が表に出だすと非難が殺到したことで、しかたがなく重い腰を上げた最低最悪ないじめ対応だったと記憶しています。

最低最悪な対応だったから「いじめ防止対策推進法」が制定されるきっかけになったわけですが、本当はこんな法律なんて無くても学校や教育委員会は動かなければいけない。

でもいまだに学校や教育委員会はいじめに対して積極的に動こうとはしていません。

学校内でいじめに関するアンケートはすべての学校で取るようになったようですが、本当にいじめに遭って窮地に立たされている生徒・児童の身に立った行動とはかけ離れたまま。

中には真剣にいじめの対応に当たられる教員もおられるかもしれませんが、大多数の教員は

 

「見て見ぬふり」「加害者側に寄り添う」「声の大きな保護者側に付く」

 

ことを行っています。

いじめ被害者の証言が書かれた書面を破棄するなど証拠隠滅を行い、さらに市区町村長がその行為を特に問題がないなんて発言するケースまであるのが実態です。

いじめメモ破棄、加古川市長理解 「大事な点ではない」、中2自殺

 

大津市中2いじめ自殺事件が契機となって制定された「いじめ防止対策推進法」ですが、どうにも形骸化している気がしてなりません。

 

 

いじめとの因果関係を認め賠償命令

これまでいじめが原因による自殺に関して、いじめ加害者側に損害賠償を請求しても認められず被害者側敗訴となるケースが多かったようです。

多くの場合は生徒の自殺は予見できなかったして、いじめと自殺との間には因果関係はないと判断されることが多かったためです。

今回の裁判では

「いじめの被害者が自殺に及ぶことは一般的に予見が可能である」

とし

殴る蹴ると言った行為のほか、持ち物を壊したり財布を隠す、制汗スプレーを使い切るまで吹き付けたりハチの死骸を食べさせようとすると言った行為は

「いたずらを大きく逸脱するもので、孤立感・無価値感の形成に結び付いた」

といじめであると認められ、これらのいじめが自殺の原因であると結論付けられた画期的な判決ではあったようです。

これから同種の事件においてはいじめと自殺の因果関係が認められて、これまでよりも加害者側に賠償命令が下されやすくなるのではと期待しています。

 

 

賠償額減額の理由は到底納得できない

2019年(平成31年)の大津地裁判決では上記のように、いじめと認定した上でいじめと自殺との因果関係を認め、約3750万円の賠償が命じられました。

自殺した方のことを考えるとこの賠償金でも安すぎると感じたのですが、これまでいじめと自殺の因果関係をほとんど認めてこなかった判例からすると、画期的だししかたがないのかなという印象を受けました。

ところが

2020年の大阪高裁の判決では、いじめと認定した上でいじめと自殺との因果関係を認めたのですが、加害者側の賠償額は400万円に減額されました。

そして最高裁は2021年1月21日付で上告を退けて大阪高裁の判決が確定しました。

 

その理由は

 

  • 両親が別居していた
  • 男子生徒が無断外泊した際に父親が顔をたたくなどした
  • 両親側にも家庭環境を整えられず自殺した生徒を精神的に支えられなかった過失がある

 

として損害額から4割を減額(過失相殺)し、さらに大津市からの和解金の額などを差し引いた約400万円が相当であると結論付けた。

 

両親側に4割もの過失ってありますか?

それと大津市からの和解金から加害者側の賠償金を差し引いちゃうって、さすがにおかしくないですか?

※市とは和解したけど、分離した裁判で加害者側と争っていたためしかたがないのかもしれないけど

 

離婚などさまざまな理由があると思うけど、両親が別居していることって賠償金の減額理由にされてしまうということは、シングルマザーの場合にも同じような判決が出てしまうのだろうか。

中学生が無断外泊すれば怒るのは当たり前だし(叩くことを肯定するという意味ではありません)、それを理由に賠償額の減額はちょっと理解に苦しみます。

いじめによって自殺したとしても、家庭環境が良くないため被害者生徒を支えることができなかった両親側にも責任があるっていう判決ですが、さすがにそれは無理がある判決だと思いますが。

 

 

両親側にまったく悪い面はなく、過失相殺自体がおかしいとは言いません。

私も息子がいじめに遭った際には、私自身がもっと息子をカバーできたのではないかと思いましたから。

しかし主因がいじめであるのに、両親側の過失が4割という判定はさすがに頭をかしげます。

裁判官がいかにいじめ問題の深刻さへの理解が足りないのかを露呈したのではないかと思います。

 

そしていじめの内容がここまでひどいのですから

自殺教唆罪

に極めて近い犯罪だったと思いますから、刑事・民事共に加害者側に極めて甘い判決だったと思います。

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