005 問題教師にとっていじめられた生徒の心情はどうでもよい

 

加害者を助けるのに必死な水泳部顧問

9日は学校へ行き、いじめに遭っていたこと、加害者はAだということ、そして太郎は死を選び〇〇駅の個室トイレ内で手首を切ったことなどを話し、そして書類に太郎自身がその概要を書きました。

ふつうならば太郎のことを思って今後の学校側のサポート体制のことなど、とにかく太郎を安心させる言葉を投げかけてくるものです。

 

しかし水泳部顧問は違っていました。

加害者Aが退学処分にならないようにするために、太郎や私たち夫婦に対して嘆願書を書いてほしいという言葉ばかり。

 

その言葉からは

水泳で好成績を残すAは退学どころか水泳部に残ってもらわないと困る。

水泳部の成績の低下を避けたいのと、自身がスカウトしてきた生徒が退学処分を受けることで、自身の学校での地位や名誉が低下することを避けたいとの思惑が見え見えでした。

また太郎も自身がスカウトはしてきたものの、Aに比べれば明らかに水泳で成績は下であることと、太郎が学校を辞める場合は自主退学なので自身の地位や名誉にはまったく影響しない。

だから被害者である太郎のことよりも、加害者であるAを何とかして助けたい。

その一心での言動だったようです。

 

 

2020年1月10日(金)

朝9時ごろに自宅の電話が鳴る。

電話は水泳部顧問からだった。

今日我が家を尋ねても良いか、との電話でした。

 

私や妻も正直言って疲れ切っていましたが、太郎は私たちの比ではないほど憔悴しきっています。

ただ電話の内容を聞いていると、今後の高校側の対応などについて話をしたいとのことでしたので、太郎の了解を得て承諾しました。

 

でもやっぱりこの水泳部顧問は太郎のことなどどうでも良かったようです。

 

 

いじめ被害者を追い詰めていく水泳部顧問

我が家を訪れた水泳部顧問は太郎に

「少しは落ち着いたか?」

といきなり話しかけてきました。

 

1月6日に学校へ行くより死を選んで手首を切り、1月9日にいったい何があったのかを一部分だけ話し、そして加害者を助けるために必死な水泳部顧問を見て太郎は涙を流した。

今日はまだ1月10日。

死を選んだ日からまだ4日しか経っていないのに落ち着くも何もないだろう。

 

 

「昨日も申しましたが、ぜひAを助けるためだと思って嘆願書を書いていただけませんでしょうか」

 

なぜ太郎や私たち夫婦が、太郎をここまで追い詰めて苦しませてきた相手を助ける必要があるのだ?

だが水泳部顧問の気迫というか圧力は半端なものではなく、太郎や私たち夫婦をどんどん追い詰めていく。

 

「嘆願書を早く書いていただかないとAの処分が決まりませんし、太郎だって時間をかければかけるほど転入転校が難しくなっていく。もう1月ですから春から新しくスタートするにしても、手続き上あまり時間がありません」

Aの処分がどうなるのかは太郎や私たち夫婦には関係がなく、あくまで学校側が決めること。

それよりも、なぜ太郎が学校を替わる前提で話をしているんだ?

 

「いじめが原因だとしても、このまま休んでいれば出席日数が足りなくなって進級できなくなるよ!このまま休み続ければ転校や編入学にも支障をきたすから、週明けからは登校しなさい!」

まだ数日しか休んでいないし、今そんなことを切り出す場合なのか?

それに誰が今通っている高校を辞めると言った?

転校や編入学に支障をきたすって、結局は太郎を高校から追い出したいだけなのか!

 

 

「AとAのご両親から謝罪がしたいと申し出てきています。できるだけ早く謝罪を受けてもらえないでしょうか。」

そして

「今日でもかまいません、こちらにお邪魔させていただいてぜひ謝罪を受けてください。謝罪を受けていただけなければ処分も決まりませんから!」

 

今後の高校側の対応を話すと言っていたけど、それはあくまでいじめ加害者Aへの対応のことで、いじめの被害者である太郎のことではなかった。

学校に復帰するためといった話は一切なく、転校・編入学つまりは現在通っている高校を辞めるという前提で話をしただけ。

太郎は顔が真っ青になっていて、目の焦点がどこにも合っていないように感じた。

 

 

そんな太郎に対して水泳部顧問は

「太郎!今日AとAの家族に会って謝罪を受けてくれ」

そして太郎は

「わかりました・・・今日・・・会います・・・」

 

明らかに目がうつろになって焦点が合っていない太郎に私は

「太郎の都合に合わせればいい、先生やA君に合わせる必要はない」

と何度も言ったのですが

「今日でいい・・・」

 

しかしこの家にAやAの家族を入れることは断った。

そこで学校でセッティングするように水泳部顧問に申し入れ、夕方に出向くことになった。

 

 

水泳部顧問が帰った後、太郎を何気に触ると熱くなっていた。

38℃ほどの発熱があった。

「しんどいのだから断るよ」

と言ったのだが

「今日でいい・・・」

 

その言葉に続けて太郎は

「どうせ会わなあかんのやったら、早く終わらせてしまおう・・・」

 

一切自分のことを考えてくれない

すべては水泳部顧問自身の保身のため

 

太郎は水泳部顧問の考えをすべて理解したうえで、今日会うことを受け入れたようでした。

 

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