004 水泳部顧問はいじめの加害者を守るために必死になった

実録いじめとその後

学校へいじめがあったことを報告

 

2020年1月9日

太郎がいじめに遭っていたことを告白しました。

さらに最初にいなくなった日に手首を切って自殺を図ったこと、そしていじめの加害者はTだということも。

 

学校にはこの日も登校せずに隠れていたことを連絡していたのですが、いじめの実態を告白してくれたので再び電話しました。

ただ電話では誰にいじめられていたのかということや手首を切ったことは話しませんでした。

横で太郎が聞いていましたし、電話で話すようなことでもないだろうと判断したためです。

そしていまからすぐに学校へ向かうことを伝え、私と妻と太郎の3人で学校へ出向きました。

 

学校に着くと大きな応接室へ通され、向かい側にはクラス担任と水泳部顧問が座りました。

いじめがあったことは伝えているのですが、それほど真剣な顔をしていない水泳部顧問に比べクラス担任は少し顔が引きつっているように見受けられました。

 

太郎がいたクラスはスポーツや芸術の推薦入学の者のみで構成されているクラスで、他のクラスとの交流は極めて少ない。

同じ学年とは言えどもまったく世界が違う、そんなクラスでした。

他のクラスとはほとんど交流がない中でのいじめ発覚ですから、クラス担任は自分のクラスの誰かがいじめを行っていたと分かっていたからでしょうね。

それに対して水泳部顧問はなぜそれほど真剣な顔をしていなかったのか。

このクラスの男子水泳部員は全員が学校での練習は行わず、スイミングスクールでの練習を行っていたために、それぞれの接点は少ないと考えていたからでしょう。

 

 

どのようないじめだったのかを口頭と書面で説明させられた

 

「先日に引き続いてまた無断欠席したことをお詫びします」

とまずは謝罪しました。

2人の教師は黙ったままでした。

 

「今回なぜ失踪に近い形で無断欠席したのかというと、いじめに遭っていたからです」

まだ2人の教師は黙っています。

 

「いじめられた相手は、同じクラスのT君です」

2人の教師の顔が引きつる様子が分かりました。

クラス担任は

「この学校ではいじめの加害者は原則的に退学となりますが、太郎からの申告に基づいてTの聞き取りを行い、その上でのことになります」

続いて水泳部顧問は

「そうは言っても1年生の水泳部員全員が一緒に卒業してほしいと願っているし、できればそういうことを一筆書いてもらえば・・・」

水泳部顧問の言った意味が私には理解できませんでした。

 

「それと先日失踪していた際、〇〇駅のトイレ内で太郎は手首を切りました」

そう言って太郎の右手首を2人の教師に見えるように突き出しました。

クラス担任は目を見開くように太郎の手首を見ましたが、水泳部顧問はチラッと見た程度です。

そのあと続いて私がどのようないじめがあったのかを説明しましたが、水泳部顧問に太郎本人から直接いじめの実態を話すように促され、太郎は消え入りそうな小声で話しました。

 

  • なんでこんなに遅いのに推薦入学で入れたんや
  • (水泳部顧問の)先生にいくら渡して入ったんや
  • 専門外の選手より遅いって終わってるな
  • 水泳はセンスや、お前にはセンスがない

試合の翌日などに、学校の帰りに言われていた。
同じクラスの水泳部員で並んで帰る際、後ろに引っ張られてこんなことを言われていた。
T君と2人きりになるのが本当に嫌だった。

 

太郎が話したあと水泳部顧問は

「まずは心療内科や精神科へ通うことからはじめよう。私も大学時代にタイムが伸びずに自暴自棄になった時期があり、心療内科へ通ってずいぶん楽になったから。話を聞いてもらうだけで楽になるから」

と病院へ行けとも取れる発言をしました。

手首を切ったことが精神疾患によるものとでも思ったのでしょうか。

 

 

クラス担任は応接室から出ていき、授業中のTを生徒指導室へ呼び寄せたようです。

水泳部顧問は太郎に向かって何があったのかを書面に書くように言い、私と妻には隣室へ移動するように言ってきました。

私と妻がいると太郎が本当のことを書けないから、そんなことを言っていました。

太郎が書いた概要は以下のような感じです。

 

6,7月 県高校総体前の試合でT君が太郎と同じ種目に出ていて、その後に
「S1じゃない人に負けるクズ」とのようなことを言われた。その後も同じことを頻繁に言われ続けた。9月1日の始業式の日に、クラスの水泳部員の中でインターハイに出る人たちでかたまって話をしていたが、ちょっと離れた所にいた太郎にT君が近付いてきて「いまみんなでインターハイの話をしてたんや、あっ!お前は出てなかったんやったな」教室の後ろの方にいたときにT君がやってきて
「太郎はスポーツ推薦で入学したんか?」と聞かれたので、そうだと答えると
「うそつけ!(水泳部顧問の)先生にお金を渡して無理やり入れてもらったんやろ!」と言われたりした。T君が試験で欠点を取ったときに太郎はクラス上位の成績を取っていたが
「推薦で入っている限りはテストの点数なんてどうでも良い!S1ではない人間に負けるほうがダメなんや!」学校や水泳の試合会場でT君はすぐ近づいてきてはこのようなことを言い続けてきた。水泳部員5~6名で下校するとき、後方からT君に引っ張られてはみんなに聞こえないように毎回言われ続けた。

1月6日は学校へ行くのが怖くて無断で休んだ。
死ぬ方が怖くないと感じていて、〇〇駅のトイレの個室内で手首を切って死のうと思った。
血がものすごくたくさん流れ出たけど痛みはほとんど感じなかった。

 

この書面は生徒指導部の教師やTのいる生徒指導室へ持って行ったようです。

その後太郎は私と妻のいる部屋へ移動してきました。

太郎は血の気が引いたような蒼白の顔色をしていて目はうつろ、そしてどこか落ち着きがないように感じました。

私と妻がいない広い応接室で、太郎は教員たちに何か言われたのだろうか・・・

 

 

いじめ加害者の名前を聞いてからの水泳部顧問の言動

私と妻と太郎、そして水泳部顧問の4人だけになったときに

「このままではTは退学処分になってしまう、嘆願書を書いてください!」

いじめがあったとことや加害者の名前、そして1月6日の失踪時に〇〇駅のトイレ内で自殺を図ったことが分かったのはこの日の朝。

そしてお昼前に学校に3人で来て事情を説明したり、太郎は自筆で何があったのかを書いたところです。

なのにいきなり嘆願書を書いてくださいってどういうことだ?

正直なところ、この教師はいったい何を言っているのか私には理解できませんでした。

 

さらに

「太郎はTがいたらこの学校に登校しにくいかもしれないが、転入学とか編入の手続きを取れば新しい学校でスタートできる!Tも嘆願書があればもう一度やり直せるから・・・」

太郎と保護者である私たちの目の前で平然と言ってのけた水泳部顧問。

さらにいろいろなことを言われたのですが、私は頭の中が真っ白になって何を言われたのか記憶がありません。

妻も同じ状態だったのかどこか一点を見つめているだけでした。

そして太郎は一筋の涙を流していました。

 

 

私たちがそんな状態の時に生徒指導部長とクラス担任がやってきました。

「Tはすべてを認めたわけではなく一部相違はあるみたいなのですが、おおむね太郎が書いたことで間違いないとのことです。本人がおおむね認めていますので、あとは生徒指導部や校長などによる会議によって処分が決定されます」

 

クラス担任が出ていくとすぐに水泳部顧問が

「とにかく時間がないから嘆願書を早く書いてください。このままでは週明けには退学が決定してしまいます」

そして生徒指導部長に向かって

「嘆願書があれば退学は回避できますよね?」

それに対して生徒指導部長は

「うーん、絶対ではないけど・・・五分五分というところだけど・・・」

生徒指導部長の返事を確認すると水泳部顧問はまた私たちに向かって

「Tの将来がかかっています。せっかく一緒に入学したのだからいっしょに卒業してもらいたい。とにかく早く嘆願書をお願いします!」

さらには

「水泳部を辞めて推薦クラスから一般のクラスへ変わって勉強を頑張ることもできます、とにかく嘆願書を!」

 

 

その場では頭の整理がつかなかった私ですが、家に帰ってから覚えていることを書きだして読み返してみました。

 

転入学とか編入の手続きを取れば新しい学校でスタートできると太郎に発言しながら、Tは嘆願書があればもう一度やり直せる。

 

1月7日の水泳部顧問の発言では

「推薦で入学している以上、水泳部を辞めることはできない。
マネージャーとしてでも残ってもらうことになる。
水泳部を去るときはこの学校を去る時だ」

と妻と太郎の前でハッキリ言っていたのに、水泳部を辞めて推薦クラスから一般クラスへ変わって勉強を頑張ることもできると発言。

 

 

結局は水泳部顧問は太郎よりも水泳での成績が良いTを何とかして学校に残したい。

退学になればスカウトしてきた自分の責任にもつながる。

また太郎の場合は学校を辞める場合は自主退学となり、別の高校へ行くにしても処分を食らって辞めさせられたのではないので編入もしやすいだろう。

この時点では太郎は水泳部を辞めるとは言っていないはずですが
※水泳部顧問と太郎が二人きりになったときにそういう話が出たのかもしれないが。

水泳部を辞めて他のクラスへ移動すれば、タイムの良いTも水泳部で活躍できるし、別のクラスになるので接触がほとんどなくなり良いではないか。

そのためには太郎や私たち夫婦が嘆願書を書き、Tが退学処分にならないようにする必要があるのです。

 

たしかにうちの太郎はそんな大したスイマーではありません。

スポーツ推薦をもらえるようなスイマーだなんて思っていなかったし、実際のところ公立高校へ進学することを考えていましたから。

でも太郎もこの水泳部顧問が中学校へ来て引っ張ったんですよ。

「私が声を掛けさせてもらった生徒は100%入学してもらっています」

って、太郎や私のほか中学校の担任や進路指導の先生の前でハッキリ言ったんです。

 

水泳部員同士によるいじめ事案で退学者が出れば顧問の責任は重大でしょう。

また速い選手が学校から去る事態は避けたい。

太郎は水泳部にいなくても問題ないし、学校を去るにしても自主退学だから顧問への責任問題には発展しない。

この水泳部顧問の頭の中では「いじめ」は特に問題とはしておらず、自己保身としてとにかくTが学校に残って水泳部に所属してくれていればそれで良い。

太郎が死を選択し実際に行動を起こしたことも、水泳部顧問にすればどうでも良いことなのでしょう。

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